保全生態学研究 編集委員長 湯本貴和
2006年4月24日
「保全生態学研究」(Japanese Journal of Conservation Ecology)は、1996年から保全生態学研究会(鷲谷いづみ会長)によって発行されてきました。このたび、「保全生態学研究」は第8巻より、以下のような経緯によって日本生態学会の第二和文誌として編集・発行することになりました。同時に、保全生態学研究会会員、すなわち従来の本誌の読者約500名のうち、日本生態学会の会員でなかった約250名は、後ほど説明するように、新たに日本生態学会のC会員になります。
「保全生態学研究」には、原著論文、総説・解説、実践報告、保全情報の4種類の記事を掲載します(詳しくは投稿規定をご覧ください)。すべての日本生態学会員が投稿する権利を持ちます。会員の皆さんの積極的な投稿を待ち望んでいます。
あわせて、日本生態学会誌への投稿もよろしくお願いします(投稿資格はA・B会員です)。なお、新たに保全生態学研究を購読されたい生態学会員は、A会員からB会員に変更ください。差額は年2000円です。日本生態学会事務局までお申し込みください。
保全生態学研究は,日本生態学会が年2回、定期的に刊行する保全生態学の研究・情報誌です.生物多様性の保全,健全な生態系の維持と回復,自然保護,地球環境問題といった広義の保全生態学の課題にこたえることを目的とした,個体群生態学,群集生態学,生態系生態学,景観生態学,生態遺伝学,進化生態学など,多様な研究アプローチの研究成果を論文や総説として掲載するほか,研究,実務,実践,教育,報道などの諸分野で保全に携わる人々の生態学にかかわる情報交換および意見表明の場を提供することにより,保全生態学の発展と普及を図ることを目的とします.
今後も、「保全生態学研究」は広義の保全生態学の範疇に含まれる総説、解説、原著論文、保全実践記録、政策提言などを掲載していきます。社会的なニーズに合わせ、従来の学術の範疇に入らないものも取り入れることで、実務家や市民など、研究者以外の広範な読者を惹きつける雑誌づくりをめざします。
今までの保全生態学研究の目次については、こちらをご覧ください。特に、以下のような記事を歓迎します。
・生態学会自然保護委員会を通じて出した数多くの要望書の背景説明や事後経過報告
・さまざまな保全生態に関わる現場での実践報告
・保全理論に関するわかりやすい解説ノート
・ご希望があれば、海外雑誌の目次等の情報(体制作りについても、ご提案お願いします)
学会の細分化が進んでいる今日、学会と研究会の統合が実現することは珍しいことです。会誌の移行は、保全生態学研究会と日本生態学会の双方の合意があってはじめて実現できたことです。その間、特にすでに和文誌「日本生態学会誌」をもち、自然保護専門委員会で長年にわたる活動を続けてきた日本生態学会会員の間では、さまざまな議論がありました。また、他学会・研究会との合流の条件を巡る問題も議論されました。
同時に、保全生態学研究会は今後は独自の会誌を発行せず、当面は会費を徴収せず、今までの資産(繰越金)を管理運用し、研究会や講習会などを主催するサークル的存在となります。生態学会の自然保護活動などについては、一会員として学会のルールに則って意見や提案を行うことが認められます。
同時に、保全生態学研究会は今後は独自の会誌を発行せず、当面は会費を徴収せず、今までの資産(繰越金)を管理運用し、研究会や講習会などを主催するサークル的存在となります。生態学会の自然保護活動などについては、一会員として学会のルールに則って意見や提案を行うことが認められます。
これに伴い、日本生態学会の会則改定を行いました。要約すると日本生態学会の会員の種別には、正会員、学生会員、団体会員があります。今後は、購読したい雑誌に応じてそれぞれ次の3通りにわかれます(表1)。この種別はアメリカ生態学会や英国生態学会を参考にしたものです。
表1.会員の区分と個人会員の権利・会費(常任委員会文書を一部改変)
A会員 | B会員 | C会員 | ||
配布* | 英文誌+和文誌 | ○ | ○ | |
保全誌 | ○ | ○ | ||
投稿 | 和文誌 | ○ | ○ | |
保全誌 | ○ | ○ | ○ | |
大会発表 | 全セッション | ○ | ○ | |
自由集会 | ○ | ○ | ○ | |
総会・委員(選挙・被選挙権) | ○ | ○ | ○ | |
年会費** | 正会員 | 11,000 | 12,000 | 5,000 |
学生会員 | 8,000 | 10,000 | 2,500 | |
団体会員 | 20,000 | 22,000 | 14,000 |
* 英文誌への投稿権利は従来通り会員に限定しない。
**地区会費を除く。日本生態学会地区会費(年会費)は、以下のとおり(2003年4月現在)。北海道地区:200円、東北地区:800円、関東地区:600円、中部地区:
0円、近畿地区:400円、中国・四国地区:400円、九州地区:700円。
なお、生態学会の自然保護専門委員会は公共事業などによる環境破壊に対し、生態学的な論理とデータにもとづく要望活動を行い、総会での数々の要望書を提出するなど、わが国の生態系保全に大きく貢献してきました。この活動は、おもに地区会単位で選出された委員が担い手となっています.
また、会員とはならずに保全生態学研究を購読していただくこともできます。購読料については日本生態学会の事務局にお問合せください。