地球生態系と生物地球化学
企画責任者:
小島 覚(東京女子大学)・佐竹研一(国立環境研究所)
概要
近年、生物地球化学(Biogeochemistry)に対する関心が、さまざま所で高まってい
ます。生物地球化学は、生態系の性格と挙動を、機軸となる物質の流れとして捉え、
それを統合的に把握し説明するために、きわめて有効な概念と思われます。そのため
生物地球化学的視点は、たとえば環境問題発生のメカニズムを自然科学的に解明する
さいに、効果的な手がかりを与えてくれるものと思われます。しかしこの概念のとら
え難さは、たとえば“生態系”と同様、それが大は地球全域から小は局地生態系にい
たるまで異なる階位にまたがり得るものであること、そのために分野により、あるい
は個々人によって理解の仕方が大きく異なり、これがコミュニケーション・ギャップ
となって、相互理解を妨げているところにあります。
このシンポジウムでは、先ずはそれぞれの立場で“生物地球化学”をどのように考
えているかというところから始まって、生物地球化学的手法で何が把握できるのか実
践的な研究事例について討議し、生物地球化学は生態学の発展にどのように貢献でき
るか等について、関心のある皆さんとともに考えてみたいと思っています。
プログラム
- 趣旨説明と問題提起: 小島 覚(東京女子大学文理学部)
- 窒素循環・炭素循環から地球生態系を考える:八木一行(農業環境技術研究所)
- カルシウム循環から地球生態系を考える:中野孝教(筑波大学地球科学系)
- 陸と海のエコトーン-干潟生態系の構造と機能から物質循環を考える:野原精一(国立 環境研究所)
- 地球生態系研究と生物地球化学研究のリンク、その展望:佐竹研一(国立環境研究所)