長期モニタリングサイトと分子生態遺伝学:森林の遺伝的構造と動態
企画責任者:
山本進一(名大院・生命農) 吉丸博志(森林総研・森林遺伝)
概要
森林の更新メカニズムについて、1970年代後半からの世界的な森林動態研究により従
来から考えられていたよりもはるかに複雑な更新メカニズムが存在することが明らか
になってきた。一方、集団遺伝学の分野では、多くのDNAマーカーの利用により、種
内の遺伝的多様性や集団内の遺伝的組成・構造の様相が分子レベルで解明できるよ
うになってきた。このような進展は、森林の動態を個体レベルのデモグラフィーとし
てだけでなく、遺伝子レベルのデモグラフィーとして捉える方向を可能にしつつある。
近年の進展が著しい分子生態学では、花粉飛散、交配、種子散布のプロセスなど
がDNAマーカーの利用により詳細に研究されるようになってきたが、このような短期
的な動態の蓄積としての長期的な森林の動態は、まだ分子生態学の成果や取り組みが
不十分な分野として残されている。主要な森林タイプにおいてモニタリングされてい
る長期プロットを研究 サイトとして、短期・長期を織り交ぜながら、構成樹種個体
群の遺伝的構造とその動態を解析しつつある研究の現状と課題について検討する。
プログラム
- 山本進一(名大院・生命農):長期モニタリングサイトの現状と分子生態遺伝研
究におけるメリット
- 西村尚之(佛教大・通信教育):ブナ林の構造と動態
- ○山下飛鳥・宗原慶恵・戸丸信弘(名大院・生命農):ブナの遺伝的構造と動態
- 三浦真弘(名大院・生命農):照葉樹林の構造と動態
- ○吉丸博志・上野真義(森林総研・森林遺伝)・三浦真弘(名大院・生命農):
照葉樹林の樹種における遺伝的構造と動態
- 小沼明弘(新潟大院・自然科学):熱帯雨林の樹種における遺伝的構造と動態
- ○井鷺裕司(広島大・総合科学)・金指達郎(森林総研・東北)・川口英之(島
根大・生物資源)・金子有子(琵琶湖研)・崎尾均(埼玉県農林総合研究センター)
・大住克博(森林総研・関西):低頻度出現樹種における遺伝的構造と動態
- 島谷健一郎(統数研):森林の空間パターンの時間発展を見たい−群集及び遺伝
構造