ヒトが目的に応じて土地を利用することで、森林、畑地、都市などが混在した特有 の空間配置がつくられる。土地の利用の仕方は生態系の物質循環や生物多様性に大き な影響を与えることから、土地利用は人間活動の生態系へのインパクトを評価するよ い指標といえる。また、空中写真や衛星写真などの地図データの蓄積にともなった土 地利用モデルの開発によって、人間活動のインパクトを土地利用の変化と結びつける ことが可能になってきた。
本シンポジウムでは、工学、生態人類学、森林管理学、理論生態学の立場から土地 利用の問題にアプローチする。国策や経済動向に左右されるヒトの行動に着目した分 析をはじめに、伐採後の森林生態系の自然再生プロセス、さらに生態系を土地の状態 とその変化としてとらえたランドスケープダイナミックスの話題を中心に、各分野で の成果を関連づけ、新しい研究の方向性を探りたい。