企画者:舘田英典(九州大学大学院理学研究院)
概要:生物の環境適応機構を明らかにすることは、生態学のみならず生物学全体の重要な研究課題である。このためには生物が生息する環境と表現型及び表現型と遺伝子の関係を統合して理解することが求められる。現在、原核生物で数百種、真核生物でも20種以上の生物でゲノムの塩基配列が決定されており、生物が環境に適応するにあたって使われている道具(遺伝子)の全レパートリーが明らかとなりつつある。このような情報を基礎にして、生態学と種内・種間の遺伝的変異から生物の適応進化機構の解明を目指してきた集団遺伝学・分子進化学が協同することにより、生物適応の全体像にせまることが可能な時代となっている。このシンポジウムでは早くからゲノム情報を使って生物の適応進化の問題を考えてこられた研究者や、ゲノム情報を使った生態学的研究を進めておられる研究者にこれまでの成果を話して戴き、ゲノム時代の生態学の方向性について議論したい。