概要:我が国の生物多様性は何千年もの間、農林水産業を中心とした人間活動の影響を受けてきた農村の二次的自然に依拠していると言われるが、農林水産業やその他の社会環境の急激な変化により危機感が高まっている。こうした中、農林水産省生物多様性戦略、第3次生物多様性国家戦略、さらに「SATOYAMAイニシァティブ」など、二次的自然に依拠した生物多様性の保全が国家的な課題となりつつある。しかしながら、上記の危機を客観的に評価しうる全国的な知的基盤は存在していないのが実情である。このため、各省庁、研究者、生産者、NPOなどの多様な主体による生物多様性モニタリングがはじめられつつある。これらの試みは各主体の目的に応じて独立して進められているが、二次的自然の生物多様性とその変化を客観的に評価するためには、得られた成果を効率的、効果的に統合し、相互に比較または利用可能なものとすることが重要である。そこで本集会では、多様な主体による里地の生物多様性モニタリング事業について自己評価方式で紹介し合い、各事業の目的に則しつつも、それらの成果を相互に活かすために最低限具備すべき共通の基盤を具体的に見出そうとするものである。なお、本シンポジウムは開催までに、海外招聘者も含め、多様な主体が参画したプレ研究会を開催し、講演者をボトムアップする予定である。