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自由集会 W03
農村における生物多様性の減少は,単に生態学的な側面のみならず,農村社会のあり方の変容とも深く関わっている。例えば,近年の水田耕作スタイルの近代化・合理化に伴う景観要素間の分離や自然攪乱の代替性の低下,高齢化や産地間競争の激化による耕作放棄地の増加などが農的景観を変容させ,我が国の農村ランドスケープの生物多様性に大きな影響を与えている。農村に見られた生物の賑わいが,かつての伝統的な生産と生活が一体となった土地利用システム(=環境容量を超えない土地利用の選択)に依存していたとすると,それに代わる持続可能な新たなシステムの構築と提案が必要となるだろう。食料供給機能のみならず,生活圏として,また生物生息環境を含めた農村の多面的機能をどのようにデザインし,持続的に発揮させていくかを考えていく際に,農村および農村社会のあり方を模索する地域計画学としての「農村計画」の重要性は高まるばかりである。農村の理解および適切なビジョンやプランニングなくして,農村の生物多様性の保全を声高に叫ぶことはできない。そこで本研究会では,現在の農村が抱えている諸課題のなかで特に生物生息環境の提供に関し,農村計画分野からどのようなアプローチがなされているかいくつか紹介したい。その上で,今後の農村における生物多様性保全の方向性について議論を持ちたい。
総合司会は大澤啓志(慶応大)
農村計画における生物多様性のとらえ方の潮流
農村の生物多様性評価に向けたインベントリー構築とそのあり方
オクヤマ−ヤマ−ノラ・ムラの現在,過去,未来。〜農村と自然の境界領域で起きていること〜
都市近郊地域のミドリの担い手 〜都市と農村の境界領域で起きていること〜
農業環境プログラムとしての田んぼの生きもの調査