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自由集会 W11
2006年12月に日本国内でアジア地域初のカエルツボカビ症が確認された。カエルツボカビ症は真菌の一種カエルツボカビ菌Batrachochytrium dendrobatidisによって引き起こされる両生類専門の感染症で、近年の世界的な両生類の激減をもたらしている要因の一つとされており、IUCNの外来生物ワースト100リストにも掲載されている。
既に中米やオーストラリアでは、本種の蔓延により、多くの野生個体が死滅したことが報告されており、日本においても固有両生類の壊滅的打撃が危惧された。その後の調査で、幸いにして日本の野外および施設環境でこの菌による在来両生類の大量死という事例は確認されておらず、予備的感染実験においても在来種に対する顕著な病原性は認められていない。
果たして、カエルツボカビは本当に両生類にとって壊滅的危機をもたらすのか、それとも日本のカエルは「平気」なのか?さらに科学的調査を続けていく必要がある。
本集会ではカエルツボカビの世界的情報を整理するとともに、これまでに得られた調査結果について報告して、今後の管理対策について検討する。
カエルツボカビの発見と病理学的特性
日本および世界の両生類の多様性と絶滅の危機
カエルツボカビの分子遺伝学的検査と遺伝的変異の実態
環境省におけるカエルツボカビの今後の対策