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自由集会 W17
我が国の希少植物の絶滅危険性は個体数とその減少率に基づいて判定されているが、遺伝的要因の影響は考慮されていない。しかしながら個体数や個体密度が減少した植物の集団では自家不和合性遺伝子の多様性減少や近親交配の増加、他種との交雑が起こりやすく、こうした遺伝的要因によって繁殖量や生存率が減少し、個体数の減少に拍車がかかる可能性が高い。希少植物の集団を効果的・長期的に保全管理していくためには、このような遺伝的要因を種ごとに明らかにしていく必要がある。また、保全生物学の分野では、こうした遺伝的要因による集団の衰退を回避するための増殖や移植などの管理法も考案されているが、そのなかには遺伝的攪乱や異系交配弱勢を起こす可能性のあるものがあり、最適な保全管理を行うためにはこのような弊害を予測することも重要である。以上の視点にたち、本集会では絶滅危惧種の繁殖や生存、個体群動態に及ぼす自家不和合性・近親交配・交雑・異系交配弱勢などの遺伝的要因の影響を報告するとともに、遺伝的管理の可能性について議論したい。
絶滅危惧種マメナシにおける自家不和合性遺伝子の多様性が種子生産に及ぼす影響
絶滅危惧種シデコブシにおける交配様式と後期近交弱勢
種間交雑による繁殖干渉?:希少樹種アポイカンバの種子生産に対するダケカンバの影響
希少木本種における遺伝的荷重と異系交配弱勢