| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(口頭発表) K2-02

地形・土壌水分の勾配下での草原植物の種多様性に対する家畜の摂食圧の異なる影響

藤田 昇(京大・生態研セ), N Amartuvshin(モンゴル・植物学研究所),松井 淳(奈良教育大・生物),山田 義裕(岡山大・生命環境学),山村 則男(総合地球環境学研究所)

植食動物の摂食圧にによって植物群落の種多様性は変化する。植食動物の摂食圧の植物の種多様性に対する影響が植物群落の立地の成長条件によってどう異なるかを明らかにするため、家畜の摂食を受けているモンゴル遊牧草原の斜面での位置が異なるように尾根から谷にかけて5地点で柵を設けて家畜を排除し、柵内外の草原植物の種数、草高、被度、成長量を比較した。

土壌水分が低く、植物の成長が劣る尾根と斜面上部では、柵外に比べて柵内の方が草原植物の種多様性は高くなった。一方、土壌水分が高く、植物の生長が良い谷筋では、柵外に比べて柵内の方が草原植物の種多様性は低くなった。土壌水分と植物の成長が中間の斜面下部では草原植物の種多様性に柵以外の差は見られなkった。このように、土壌水分の異なる立地間で家畜の摂食圧の植物の種多様性に対する影響は異なった。

植物間の競争と摂食による競争緩和・排除が立地間で異なるためこの違いが生じたと考えられる。植物の生長が劣る尾根や斜面上部においては、柵内の植物間の競争による排除が起こりにくいが、柵外での家畜の摂食による排除が起こりやすい。一方、成長の良い谷筋においては、柵外では植物間の競争が緩和されて生長の劣る植物が生育できるが、柵内では植物間の競争が大きく、排除されると考えられる。


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