| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(口頭発表) N1-04

お熱いのがお好き:カワトンボの交尾相手選択

椿 宜高(京大生態研センター)

昆虫の配偶者選択には、オスの体サイズや色彩が重要であると通常考えられているが、体温も重要な役割を果たしていることがわかった。

多くの昆虫は外温的に体温を調節する。その主なエネルギー源は太陽光である。森林に生息するカワトンボは、渓流の産卵基質を中心になわばりをもつが、同時に日当りの良い場所を好む。日当りの良いなわばりでは、高い体温を維持できるからだと思われる。高い体温によって飛翔能力が高まるので、日当りになわばりを持つことは、オス間のなわばり争いやメスへの求愛飛翔にとって有利に働くのかもしれない。今回サーモビジョンと高速度ビデオカメラを用いて、メスへの求愛飛翔の羽ばたき頻度と体温の関係、および体温と交尾成功率の関係を調べた結果、求愛飛翔に関する予測が正しいことを確かめることができた。同時に、これまで「求愛飛翔」と想定されていた行動が、実際に求愛のシグナルとして機能していることが確かめられた。メスにとって、このシグナルにどのような情報が含まれているのかを議論する。


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