| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-079

異なる解除率で被陰解除された落葉広葉樹9種における光合成機能の応答

田中 格(山梨森林総研・富士吉田)

落葉広葉樹の被陰解除に対する光応答性を明らかにする目的で本研究を行った。供試樹種はモクレン科のホオノキ、コブシ、ニレ科のケヤキ、ブナ科のミズナラ、コナラ、クリ、ブナ、カバノキ科のシラカンバ、ミズメの9種である。開葉前の3月から相対PPFDで2%に被陰した苗木において、9月始めに100%、50%、25%の解除率で被陰解除し、解除前、解除1日後、7日後、15日後に、光阻害の指標となる量子収率(以後Fv/Fm)、飽和光合成速度を経日測定し、被陰解除による光阻害の感受性および光阻害からの回復性を検討した。その結果、解除率が大きくなると解除直後のFv/Fmの低下率が大きくなり、Fv/Fmの低下率が大きいほど最終的な光阻害からの回復性が悪い樹種(ホオノキ)、解除率が大きくなると解除直後のFv/Fmの低下率は大きくなるが、Fv/Fmの低下率が一定の値より小さくなると最終的な光阻害からの回復性が良好となる樹種(コブシ、クリ)、解除率が大きくなると解除直後のFv/Fmの低下率は大きくなるが、いずれの低下率であっても最終的な光阻害からの回復性が良好となる樹種(ケヤキ、ミズナラ、ミズメ)、解除率による解除直後のFv/Fmの低下率に差が認められず、いずれの低下率でも最終的な光阻害からの回復性が良好となる樹種(コナラ、ブナ)が認められた。また、被陰解除後では、Fv/Fmと飽和光合成速度は正の相関を示し、光阻害からの回復に伴い、被陰解除により変化した光環境に応じた光合成生産を示すようになることが示唆された。


日本生態学会