| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-165

岐阜県恵那市里山林におけるアカネズミ(Apodemus speciosus)の食性を考慮したHSIモデルの構築

大畑直史*(中部大学・応),久保壮史(中部大学・応), 寺井久慈(中部大学・応),南基泰(中部大学・応), 上野薫(中部大学・応),小田原卓郎(清水建設(株)・技), 那須守(清水建設(株)・技),米村惣太郎(清水建設(株)・技), 横田樹広(清水建設(株)・技)

2007年より「土岐川・庄内川流域圏の持続的管理・保全のための生物多様性ポテンシャル評価」を行っている。筆者らは,本流域圏の里山林保全のためには現地生態系の定量化は有効であると考え,該当地域の里山林に生息する地上棲小型哺乳類の優占種であるアカネズミを指標種とした HSIモデルの構築を行った。筆者らは,過去に空間次元別HSIモデル構築のため,コドラート別(面)と罠設置定点別(点)のHSIモデルを構築し,その比較を行った。調査地は,岐阜県恵那市武並町にある中部大学恵那キャンパス内のコナラ林,ヒノキ人工林,および草地のコドラート(各調査地に12×12mを3面),データ収集期間は2005年1月〜2007年12月であった。その結果,本種のハビタットの定量化には,目的変数を年間総捕獲個体数,ハビタット変数を,地上開口部数,天空率の中央値,胸高直径5cm以上の木本の総本数,地表面土壌硬度の中央値,堅果樹種の胸高直径の最大値とし,データを面単位で解析するモデルがより高い精度となることが示された。しかし,このモデルには直接的に餌条件に関わる項目が含まれていなかった。そこで,餌条件をより反映させたモデルとするために,落下堅果総質量(2008年度調査)をハビタット変数に加え,面モデルの再検討を行った。その結果,目的変数とHSI値との相関係数がrs=0.78(p<0.01,Spearmanの順位相関)と有意な結果が得られ,餌条件に落下堅果総質量を加えたHSIモデルを構築することができた。今後は,堅果樹種以外の餌条件の検討も行い,最終的には流域圏全体における検証を行う必要がある。


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