| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PA1-170
水域と陸域の両方を利用するため、カエル類は水田を中心とする田園環境の指標種として有用である。また、調査地とした豊岡盆地では2005年からコウノトリの再導入が実施されており、同種の餌資源としても重要と考えられる。本研究では、水田が卓越する複数の区域においてカエル類の生息密度を調査し、田園環境の評価を試みた。
豊岡盆地内の水田地帯に8箇所の調査区域を設定し、各区域において水田地帯を横断するように農道沿いと水路沿いに計2本のライントランセクトを平行に設定した。2008年5月から7月にかけて、各ライントランセクトを1回踏査して、延長10mのプロット毎に出現したカエル類の体長を捕獲あるいは目視による推定により記録した。また、同時に畦畔の断面形状や草丈、植被率を記録した。
ほとんどの調査区域に出現したトノサマガエルとニホンアマガエルについてプロット毎の生息密度をみると、トノサマガエルは水田面と畦畔あるいは水路面との段差が少ない場所で密度が高い傾向があった。一方、ニホンアマガエルにはそのような傾向は見られなかった。調査区域毎に比較すると、ほ場整備後の経過年数が少なく水路が暗渠化された調査区域ではトノサマガエルの密度が低く、森林に接した調査区域ではトノサマガエルとニホンアマガエルの両方の密度が高い傾向がみられた。