| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-193

伊豆諸島における島民の固有植物に対する意識

*中村未来(明大・農),菊地哲理(明大院・農),倉本宣(明大・農)

伊豆諸島は本州から比較的近い海洋島であり、独自のフロラが成立しているとともに、伊豆諸島のみに分布する固有種や固有変種も多く存在している。また、本州から近いため、人が古くから住み、島の自然を利用してきた。そのため、サクユリでは大島では戦前、球根が1万球出荷され、三宅島では60年代に三宅島の系統は絶滅し、現在生育しているものは御蔵島の系統である可能性があるように、人の利用のある植物は人為的な影響を受けてきた。現在でも、神津島では過剰な採取によるコウヅエビネの野生株の減少が問題となっている。このような、古くから人の住む島嶼の植物の固有性を保全するにあたり、島の住民の植物利用と固有植物に対する意識を把握することが重要である。そこで、住民による植物の利用状況、島の植物の固有性に対する住民の意識、各島で食用・観賞用として頻繁に利用されたサクユリの利用について明らかにするために、大島、神津島、三宅島、御蔵島の4島の住民を対象とし、アンケートによる調査を実施した。

各島500世帯を電話帳から無作為に抽出し、1世帯に2枚ずつ1000人に郵送にてアンケートを配布した。ただし、人口の少ない御蔵島では電話帳に記載されていた75世帯150人に配布した。調査項目は性別、職業などの基本属性に加え、サクユリ、オオシマツツジ、ラセイタタマアジサイ、シマホタルブクロの利用と伊豆諸島固有の植物についての意識、またサクユリについては採取経験やその頻度とした。これらの結果を解析し、本発表では伊豆諸島住民の固有種に対する意識や住民が固有種に与えてきた影響について報告する。

また、本研究は明治大学新領域創成型研究費の助成を受けて行われたものである。


日本生態学会