| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-220

研究成果を効果的に伝えるには? -米国の科学教育プログラム(MAREとCOS)の事例-

*藤田喜久(琉大・大学教育センター/NPO法人海の自然史研究所), 今宮則子(海の自然史研究所), 平井和也(海の自然史研究所)

近年,科学リテラシーを育むために研究者による教育の場への主体的な参加が求められている.生態学分野では,特に自然環境の保護・保全の場面において社会からの需要や期待が多いと思われる.しかし,実際に研究者がこのような要求に応えることはそう簡単なことではない.そもそも,「研究」以外に時間や労力を割くこと自体が困難であり,さらに,そうした努力に対する評価(基準)が無いという問題も存在する.また,仮に関心と意欲があったとしても,研究者自身が教育学的素養を持たない場合が多いため,効果的に科学や研究を伝えるスキルに不足があるように思われる。

そこで演者らは,研究成果を伝える新たな手法の一つとして,参加体験型の科学教育プログラムに注目した.今回の発表では,カリフォルニア大学のローレンス科学教育研究所で開発された海洋科学教育プログラムである「MARE(Marine Activities,Resources & Education)プログラム」と「COS(Communicating Ocean Science)カリキュラム」について精査した結果を紹介する.

MAREプログラムは,小学生から中学生までに対応した体験型の海洋科学教育プログラムであった.学年に応じた対象フィールド(池,岩礁海岸,砂浜,湿地,海藻森,外洋,島嶼,サンゴ礁,北極・南極)の中に,78のアクティビティを有しており,学年が進むにつれ,多様性や視野の広がりなどを順に学べるように体系化されていた.一方,COSカリキュラムは,海の科学を専攻する大学生や大学院生などを主な対象として海洋教育の教授法や教育論を学ばせる内容になっており,将来的に若い研究者の社会進出を促すために最適なカリキュラムとなっていた.


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