| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA2-547

クワヒョウタンゾウムシ両性型と単為型の比較-系統関係と繁殖生態-

*多田泰紘 (北大院・理), 小林憲生 (北大・総合博物館), 片倉晴雄 (北大院・理)

クワヒョウタンゾウムシScepticus insularis Roelofsには両性生殖を行なう個体(両性型)と単為生殖を行なう個体(単為型)が存在する。北海道における両性型と単為型の生息は先行研究(竹内, 1986)において確認されているものの、両者の詳細な地理的分布パターン、2型間の系統関係、およびそれらの繁殖生態の違いについては明らかにされていない。そこで、本研究では北海道全域における分布調査、およびミトコンドリアND2遺伝子を用いた分子系統解析により2型間の系統関係の推定を行った。分布調査の結果、北海道35地点から235個体の本種を採集した。そのうち北海道全域にわたる27地点から単為型が、地理的に隔てられた4地域15地点(旭川1地点、小樽1地点、札幌12地点、知内1地点)から両性型が確認された。両性型が採集された4地域7地点(旭川1地点、小樽1地点、札幌4地点、知内1地点)においては、単為型も得られ、両者は同所的に生息していることが確認された。また、系統解析の結果、本種のND2遺伝子ハプロタイプは明確な2つのクレードに分かれた。一方のクレードはすべて両生型(36個体のオスと13個体の両生型メス)で構成され、もう一方のクレードには2個体のオスと53個体の単為型メスが含まれた。

野外において両生殖型の季節消長を調査したところ、成虫の出現時期と繁殖時期に違いは認められなかった。さらに、本年度は飼育実験から両性型と単為型の産卵数と孵化率の調査を行っており、今回この結果についても併せて報告する。


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