| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB1-306
冷温帯は常緑樹(おもに針葉樹)と落葉広葉樹が共存する気候帯である。冷温帯林といえば特に落葉樹林のイメージが強いが、原生的な自然の残されている地域では落葉広葉樹と常緑針葉樹がともに高木層を形成する針広混交林が見られ、冷温帯の本来の植生はこのような混交林であると考えられる。
では、冷温帯林における常緑樹と落葉樹の共存やその構成比はどのような要因に支配されているのだろうか。
そこで、我々は針広混交林の多様な光環境と、そこで生育する常緑針葉樹と落葉広葉樹の光環境の利用の仕方に着目した。
題材として太平洋側の山地にみられるモミ・ツガ(常緑針葉樹)・イヌブナ(落葉広葉樹)混交林を用いた。混交林に特徴的な光環境を精査するとともに、各環境下でのモミとイヌブナの実生、また野外における稚樹について成長量などを測定した。
その結果から、二種の光環境に対する成長戦略の違いと、冷温帯林の構成や更新機構について考察した。