| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PB2-687

土壌呼吸構成要素の環境要因依存特性

鈴木あづさ(玉川大・院),関川清広(玉川大・農)

土壌呼吸(Rs)は生態系から放出される炭素量の大部分を占め、従属栄養生物呼吸(Rh)と植物体地下部呼吸(Rr)から構成される。Rsの構成要素の分離、およびRhとRrの環境依存特性についての研究はまだ少ないため、その解明を目的として、半自然草原とダイズ圃場を対象に研究を行った。

RhとRrの推定方法として、土壌に仕切りを入れて植物根の侵入を防ぎ、Rhを推定するトレンチ法、植物体地下部の呼吸量からRrを推定する呼吸法、植物体地下部バイオマスとRsの回帰直線のy切片をRhとみなす回帰法を採用した。Rsは、LI-6400と専用土壌呼吸チャンバーを用い、測定された。

長野県の半自然草原において、呼吸法と回帰法を用いてRsを分離した。地下部呼吸法によると、Rhは0.9〜9.2μmol m-2 s-1、Rrは1.5〜3.8μmol m-2 s-1であった。回帰法によると、Rhは2.2〜9μmol m-2 s-1、Rrは1.4〜5.2μmol m-2 s-1であった。茨城県のダイズ圃場において、トレンチ法と回帰法を用いてRsを分離した。トレンチ法によると、Rhは1.9〜4μmol m-2 s-1、Rrは0.2〜1.7μmol m-2 s-1であった。回帰法によると、Rhは2.1〜4.6μmol m-2 s-1、Rrは0.3〜1.2μmol m-2 s-1であった。Rsは地温、土壌水分、または植物体地下部バイオマスによって説明できたが、植物体地下部バイオマスの影響は植物の生育時期によって異なった。RhはRsの環境依存特性と類似していたが、Rrの依存特性は異なっていた。Rsの環境依存特性は、Rhに由来すると考えられ、Rrを適切に分離することが重要である。


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