| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB2-700
有機物の分解や脱窒、硝化などの土壌微生物の活動は、温室効果ガスであるCO2やN2O、CH4の放出量に大きく影響を及ぼす。土壌と有機物を混食するミミズのような落葉・土壌混食者は、周辺の土壌と比較して栄養分に富んだ糞団粒を形成し、土壌微生物を活性化する。これまでミミズによって形成された糞団粒内やミミズの消化管内の環境下では、土壌からのN2OやCO2、CH4フラックスが変化することが観察されている。ミミズの活動によって形成される団粒は土壌中に嫌気的な微小環境を形成し、土壌環境を改変する。このような土壌改変活動は他の落葉・土壌混食者においても起こると考えられる。
本研究では、本州中部・八ヶ岳周辺に出現するキシャヤスデ(Parafontaria laminata)を落葉・土壌混食者のモデル生物として室内飼育実験を行ない、落葉・土壌混食者の土壌改変能力およびN2OやCO2、CH4フラックスの変化を観察した。
土壌を摂食すことによって、キシャヤスデは団粒を形成することが明らかになった。さらに団粒形成に伴って、CO2やN2Oフラックスを増加させ、CH4酸化を促進することが観察された。土壌に落葉を添加した飼育実験では、土壌のみでの飼育よりCO2フラックスが有意に増加することが明らかになった。