| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB2-731
森林のCO2収支を評価する上で、枯死有機物からの従属栄養呼吸を推定する事が必要である。森林土壌には、地上部からは葉、枝、幹、そして地下部からは根リターなど様々な枯死有機物が供給される。一方、森林土壌の分解プロセスは高い基質依存性をもち、環境要因(気温や降水量など)の影響を受け、さらには季節変動するため、その収支の評価は難しい。その中でもより分解の進行の早いと考えられる葉リターに関しては林床面において非常に微小な位置関係によりその分解プロセスが変化すると考えられる。また、伝統的に、葉リター分解の先行研究ではリターバックが使用されてきたが、物理的そして生物学的な要因を制限するために自然状態の再現性が疑問視されている。
そこで、本研究では葉リターの呼吸量の変化を測るために、10枚に重ねたコナラ落葉をU字型にしたワイヤーで林床面に直接固定した。これを合計109本(1090サンプル)作成した。葉リター呼吸量は1枚ずつ密閉型小型チャンバーを用いて赤外線ガスアナライザーで測定した。測定は2008年5月〜2008年12月の期間に京都府南部に位置する山城水文試験地で行った。本試験地は、コナラが優占する落葉広葉樹二次林である。
葉の呼吸量は最小値が0mgCO2kg-1h-1で最大値が1080mgCO2kg-1h-1であった。一番下の葉の呼吸量は一番上の葉の呼吸量の7倍(74〜516mgCO2kg-1h-1)であり、含水率に関しては3倍(15〜45%)あった。温度よりも含水率に大きく依存した。葉と葉の微小な位置関係の中にも含水率の大きなバリエーションがみられ、葉の呼吸量に大きな変化があった。