| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PC1-340
湖沼の代表的な動物プランクトンであるDaphniaは、いずれの種もろ過食者でありニッチが大きく重複するため、小型湖沼で複数種が同所的に生息することは稀である。山形県白鷹湖沼群には多数の小さな沼が点在し、沼によって生息するDaphnia種が異なり、また同所的に3種のDaphnia種が生息する沼さえある。本研究では、白鷹湖沼群の沼によってDaphniaの共存種数や生息種が異なる理由を明らかにすることを目的に、野外調査と現場実験を行った。調査は5沼を対象に2008年5-11月に月に一度の割合で行い、出現するDaphnia種と環境条件との関係を調べた。また、10月にはプランクトンネットを貼った透明ボトルを用い、2つの沼で現場競争実験を行った。野外調査の結果、出現するDaphnia種は沼や季節によって異なっていたが、各種の卓越を決定づける生物的・非生物的環境要因は特定されなかった。一方、現場競争実験では、実験を行った沼には生息していないDaphnia種が卓越するなど、生息種はその沼での競争優位性を反映したものではないことが判った。発表では、生息種数や生息種を決める要素として捕食者や沼の干上がりの影響について議論する。