| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PC1-345
1960年代後半まで季節の明瞭な温帯に比べて気象の季節変化が弱い熱帯では昆虫の数の変動は温帯に比べて小さいと信じられていたが、熱帯での研究が進むにつれ、昆虫の多くで1年を周期とする個体数変動を示すことがたびたび報告されてきた。しかし、これらの研究の多くは雨量の季節変化が比較的明瞭な熱帯地域で行われており、こうした研究が強調する昆虫の季節的な個体数変動が他の熱帯地域でも見られるのかについてはよく検討されてこなかった。東南アジア熱帯の中心部は1年を周期とする気象の季節的な変動が弱い。こうした地域で昆虫はどのような個体数変動パターンを示すのだろうか?演者らはボルネオ島低地フタバガキ混交林において、植食性ハムシ科成虫を対象に約6年分の灯火採集標本を分析し、それらの多くで暦上の季節に連動した季節性の顕著な変動パターンがみられないことを明らかにした。