| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC1-367

小河川上流域における魚類の流程分布と種間競争

*大平充(東京農工大・農),満尾世志人,土井真樹絵,角田裕志,千賀裕太郎

環境傾斜に沿って種の置換がおこる接触的な異所性分布の形成プロセスについては古くから議論されてきた。河川生態系の単一分類群の分布においても、上流から下流に向かって種が置き換わる流程分布は重要な分布様式の一つであると言える。とくに山地渓流の小河川ではサケ科魚類の種間において分布が隣接しつつも明瞭に分離することが知られ、この要因として種間競争が重要な役割を果たしているとされている。

平野や丘陵地など比較的低標高の小河川源流域に生息する小型淡水魚類においてもの複数の種間において流程方向での種の置き換わりが確認されている。これまでこのような小型淡水魚類での種間相互作用についてはあまり議論されておらず、競争の相対的重要性や環境条件との関係において異なる形成プロセスが存在する可能性がある。このような流程分布の形成機構の理解は河川性魚類群集の群集構造、種多様性の理解やその予測につながると考えられる。また、開発などにより減少が懸念される淡水魚類の保全にも寄与すると考えられる。

本発表では、小型淡水魚類の流程分布の形成に関するアプローチの初期的な段階として分布調査、標識再捕獲調査の結果から、分布、生残傾向、環境条件、移動分散傾向について示し、種間競争の重要性やその他の要因について考察する。また、今後の具体的な研究の方向性、検証点について検討する。


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