| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC2-775

アメンボ卵寄生蜂における潜水が産卵行動に与える影響

*片山潤史,藤崎憲治(京大院・農・昆虫生態)

寄生蜂Tiphodytes sp.は潜水を行い、水中に産下されたナミアメンボAquarius paldumの卵に寄生を行う。アメンボ卵は約8日(25℃)で孵化するが、卵の日齢が経過すれば寄生蜂の寄生成功率は大きく低下する。また、本寄生蜂は単寄生性であり、一度寄生された卵には寄生しない。これまでに産卵管を挿入してアメンボ卵の質を判断することがわかっている。また、産卵管を挿入したアメンボ卵の質によってその後の探索行動を変化させ、不必要な産卵管の挿入回数を減らすことにより効率的な寄主探索を行うことがわかっている。このような寄主探索行動は、水中での寄主探索のコストが大きく、時間的な制約も大きいからだろうと考えられる。しかし、水中での寄主探索のコストについて検証した研究はほとんどない。したがって、本寄生蜂を用いて、水中での寄主探索のコストを検出することを目的として、潜水寄生は溺死を引き起こすのか、また潜水時間が寄生蜂の生存日数に影響を及ぼすのかを調査した。その結果、長時間の潜水は溺死を引き起こすことが示唆された。一方、潜水が生存日数に与える影響に関しては、潜水後に餌を与えて飼育した場合には検出されなかったが、餌を与えなかった場合には、生存日数が短縮し、産卵数も減少する傾向が認められた。本講演では、これらの結果をもとに潜水が産卵行動に与える影響について考察する。


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