| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PC2-782
地理的プロファイリングはもともと、犯罪学で連続犯の居住地域を予測するための統計手法として開発された。犯行現場の位置関係と、過去のデータから導かれた、犯人の住居と犯行現場までの距離に依存する犯罪確率モデルを用いて、ある場所が犯人居住地域である尤度を計算する。近年、地理的プロファイリングは動物行動学に導入され、コウモリのコロニーの位置推定などに用いられている。
この地理的プロファイリングが、マルハナバチの巣の位置推定に応用できれば、保全生態学に大きな貢献となる。在来マルハナバチ種の保全や外来マルハナバチの除去には、巣の位置特定が必要不可欠なためである。私達は、2004年から2006年の北海道のセイヨウオオマルハナバチの採餌場所と巣の位置のデータから、地理的プロファイリングがセイヨウオオマルハナバチの巣の位置を推定できるか試みた。地理的プロファイリングは、ランダムよりは有意に巣の位置を推定できたが、保全生態学に応用できるほど精度がいいものではなかった。結果から、精度が低かった原因と精度を高めるための課題を考察する。