| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PC2-795
宮城県金華山島北西部のシバ地では、1989年以来常時100頭以上のニホンジカが個体識別され、行動学的調査が行われてきた。この地域を主に利用する個体は決まっていてメス家系については家系図が作成されている。各個体の移出入、生存/死亡、繁殖等のパラメータが明らかになっている。また捕獲によってサンプルを採取し、マイクロサテライトマーカーによるタイピングを行っている。
島全体のニホンジカサンプルを分析した結果、この島のニホンジカ個体群の遺伝的多様性は比較的高く、島内の場所によって異なる遺伝子型が存在していることが明らかになった。また、シバ地の個体識別された個体群について9年間の遺伝子構成の変化を見ると、この地域で通常見られないタイプの“レアアリル”が時々現れることが確認された。識別個体群について父子判定を行い、産まれた子供の父親を確認したところ、これらのレアアリルは発情期に周辺部からシバ地に侵入してきたオスによってもたらされるものと考えられた。
本研究では、このレアアリルに注目し、数年間の集団内のレアアリルの出現・消失について報告する。