| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) F1-04

レーザーリモートセンシングによる緑地構造把握

*加藤 顕(千葉大・園芸),小林達明(千葉大・園芸),根本 光(千葉大・園芸)

緑地構造の把握はこれまで2次元高解像度画像から行われてきた。2次元高解像画像には、航空機や衛星から撮影されたものがある。衛星から撮影された画像は、広域を安価に取得できる一方で、雲や天候の影響によりデータ取得が困難な場所がある。航空機から撮影された2次元画像は、従来の写真測量技術により、2枚のステレオ画像から地上構造物の3次元化が可能であるが、解像度が高すぎるため陰の影響でデータが欠けたり、不完全なデータのオルソ化でデータの正確性に影響を及ぼす場所がでてくる。これらの問題を解決するために、レーザーを用いた3次元緑地構造把握が行われるようになってきた。これまでレーザーを使った事例は、主に詳細なDEM(デジタル標高図)の作成である。レーザーデータから作成された高解像度DEMは、より詳細な地形要因の抽出を可能とするため、詳細な森林の生態的立地条件の研究等に貢献できる。近年では森林の複雑な構造が把握ができるまでレーザーデータの解像度が向上し、生態的サービスの指標となる複層林の判別、林冠部を利用する陸上動物のコリドー、鳥類生息地の判別等に用いられるようになってきた。そのため、生態的モデルの開発においてより現実的な空間シュミレーションができるほど質の高いデータを提供ができるようになってきている。本発表は、緑地構造の把握におけるレーザーセンサー利用可能性、その解析手法、高解像度3次元データによる解析結果の紹介を行う。レーザーによる緑地構造解析は、里山や都市緑地などの緑地環境の違いを構造的に「見える化」し、最終的には生態的サービスに考慮した持続可能な緑地環境計画を行うことができる。またレーザーによる効率的で質の高いデータ取得は、これまでの現地調査における労力を低減し、フィールドを主体とする生態学分野の研究に有効な手段となり得る。


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