| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) F1-11

二次林の植生攪乱に対する植物と地表徘徊性甲虫群集の反応の違い

*渋谷園実(東大院・新領域), 久保田耕平(東大院・農), 大澤雅彦(東大院・新領域)

本研究は二次林における小規模スケールの植生攪乱(管理)が、植物の再生及び地表徘徊性甲虫群集に与える影響を明らかにすることを目的としている。国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県)内の放置コナラ二次林において2004年春にフィールド実験区を設置し、樹木伐採・下刈り・落葉かきといった植生攪乱を加え、その後の植物の再生と地表徘徊性甲虫の反応を2004年、2005年、2006年、2007年の4年間にわたり調査した。植物の再生については、下刈りによって多くの新しい種が侵入しその多様性が増加した。樹木伐採は、強い環境の変化を引き起こし、植物の再生量に影響を及ぼした。一方地表徘徊性甲虫に関しては、樹木伐採が種の多様性を大きく増大させ、その個体数には落葉かきが影響を与えた。

この結果からたとえ経済的な理由から従来のような広範囲にわたる大規模な二次林管理ができなくても、少ない労働力による限られた範囲の小規模スケールの樹木伐採でも二次林の生物多様性の保全は可能かも知れないことがわかった。また、それぞれの植生攪乱(樹木伐採、下刈り、落葉かきなどの実験処理)に対して植物と地表徘徊性甲虫の反応が異なっていた事から、樹木伐採に下刈りと落葉かきを組み合わせた管理が健全な手法となりうる事が示唆された。最後に、地表徘徊性甲虫は小規模スケールの植生攪乱に大変鋭敏に反応したので、このような小規模攪乱を基本にした管理方法のモニタリング手法としてその活用を提案したい。


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