| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) G1-02

北海道函館地方における個体レベルでのブナ開花量10年間の動態

*阿部友幸(北海道立林業試験場),佐竹暁子(北海道大学),今博計,長坂晶子(北海道立林業試験場)

北海道函館地方において,1haの方形区に生育する約180個体のブナについて2000年から2009年まで10年間,開花量のモニタリングをおこなった。2000年,2005年に多くの個体で大量開花が認められた一方,翌年の2001年,2006年はほとんど個体に開花が見られないという,開花量の大きな年変動と強い同調性が認められた。その他の年は強い同調性は見られなかったが,個体レベルでは大量開花と少量開花を年ごとに繰り返す,という年変動が認められた。

以上のような開花動態データをもちい,開花同調の資源収支モデル(Satake and Iwasa, 2000)を検証した。まず繁殖後の資源枯渇が繁殖量の変動をもたらすのかを検討した。資源減少係数kは,Rees et al.,(2002)の資源再構成法によって推定する。次に,開花量の集団平均と別途シードトラップデータから推定した受粉効率の関係より花粉制約の強さ(ベータ)を求める。資源収支モデルに1)花粉結合の有無,2)花芽形成の気象合図(Kon and Noda, 2007),3)生育期の気象,等を入れたモデルを作成し,どの要因を組み込んだモデルが個体の年変動の値(CV)および同調性(Sy)を最もよく説明するかをしらべ,ブナにおける開花量の変動と同調のメカニズムを推定する。


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