| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) K2-06

中国毛烏素沙地に生育する植物の浸透調節能と乾燥適応戦略

*岡田憲和(鳥取大・農),毛惠平(鳥取大・農),道又静香(鳥取大・農),山本牧子(鳥取大・乾地研),山中典和(鳥取大・乾地研),山本福壽(鳥取大・農)

中国内蒙古自治区内オルドス高原の毛烏素沙地は多様な植生を有しており、風による砂の移動を防ぐために植生の定着などによる砂丘の固定が行われている。砂丘固定を目的とした植生の維持・管理には、対象となる植物の生理生態的特性の情報収集が不可欠である。半乾燥地の植物には、乾燥、塩など、様々な環境ストレスが生じる。乾燥や塩ストレス環境下においては、土壌からの水吸収が困難になるため、生育している植物は、体内に適合溶質(浸透調節物質)を集積するなどによって適応している。現在適合溶質と考えられているのは、ショ糖などの可溶性糖、グリシンベタインなどの第四級アンモニウム化合物、ソルビトールなどの糖アルコール、プロリンなどのアミノ酸、K+などの無機イオンである。本報告は、2008年、2009年の現地調査結果をまとめたものである。2008年度には、生育する植物(沙柳、旱柳、油蒿、カラガナ、臭柏、油松,樟子松,新疆楊,白楡,垂楡、烏柳、牛心朴子、沙米:13種)の夜明け前と日中の葉における水ポテンシャル、9種の糖の含有量、3種のベタイン類の含有量を測定し、それらの関係性について分析した。2009年度には、沙柳、旱柳、油蒿、カラガナの葉における水ポテンシャルと糖の含有量の時間的変化を測定した。これらの結果、植物の浸透調節能は多様であり、特に油蒿は、糖、ベタインの蓄積による高い浸透調節機能を持つことが明らかになった。


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