| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-104

異なる光環境下に生育するトドマツ、エゾマツ、アカエゾマツの成長特性と葉の老化

香山雅純(森林総研九州),小林 真(北大・農),崔 東壽(東京農工大・農),高木健太郎(北大・北方生物圏セ),小池孝良(北大・農)

北海道では、森林を構成する主な針葉樹としてトドマツ、エゾマツ、アカエゾマツが分布する。3樹種は時には同じ地域に分布しているが、森林の林床ではトドマツは多くの稚樹が生育するのに対して、エゾマツ、アカエゾマツの稚樹はあまりみられない。このことから、トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツでは光環境に対する順化能力が異なると予想される。また、これらの3樹種の針葉は暗い環境下では葉の寿命が延びることが知られているが、齢を重ねた針葉の成長反応は不明な点が多い。本研究では、光環境の異なる地域に生育するトドマツ、エゾマツ、アカエゾマツの成長特性を比較して、光合成特性のほか、光合成能力に関与する葉の形態、針葉の寿命、クロロフィル濃度、窒素利用特性を葉齢ごとに測定した。調査は、北大天塩研究林内のトドマツ、エゾマツ、アカエゾマツの3樹種が混在する地域の稚樹を対象に行った。なお、3樹種とも開放地と、樹冠下の個体を対象に光合成特性と、窒素・クロロフィル・Rubisco濃度、葉の内部形態、そして針葉の寿命を測定した。

樹冠下の3樹種におけるの光-光合成曲線を測定した結果、各樹種とも2年生針葉が最も光飽和時における最大光合成速度が高く、初期勾配も大きかった。しかし、加齢が進むと最大光合成速度はあまり低下しないが、初期勾配は小さくなる傾向を示した。3樹種の2年生針葉で比較すると、光飽和時における最大光合成速度は3樹種ともほぼ同じ値であったが、光-光合成曲線の形状は大きく異なった。トドマツは光合成速度が飽和に達したPPFが500μmol m-2s-1と低く、エゾマツは若干高かった。一方、アカエゾマツは初期勾配が2樹種より低く、PPFが1,500μmol m-2s-1を超えた値で光合成速度が飽和に達した。


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