| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-110

異なる土壌塩分条件がタマリスク苗木の成長に及ぼす影響

*今田省吾 (鳥取大・乾燥地研), 政二大志 (三重大・生物資源), 岩永史子, 村田直樹 (鳥取大・乾燥地研), 松尾奈緒子 (三重大・生物資源), 山中典和 (鳥取大・乾燥地研)

タマリスクはアジア、ヨーロッパ及びアフリカの乾燥地域に自生する低木あるいは高木種である。また、葉に持つ塩腺から塩を排出するタイプの塩生植物である。アメリカには1800年代に導入され、現在特に南西部の河畔流域に大規模な林分を形成して、この地域の水消費および野生生物の生育に悪影響を及ぼしている。本研究では、タマリスクが生態系へ与える影響評価の基礎情報を得るために、土壌塩分がタマリスク苗木の成長量に及ぼす影響を調査した。

実験は鳥取大学乾燥地研究センターのビニールハウスで行った。2009年3月にアメリカ・ネバダ州で採穂したタマリスクの挿し木苗を60 Lのポット(砂丘砂、深さ45 cm)に植栽し、異なる塩水灌漑下(0(コントロール)、50、100、200、400及び600 mM NaCl)で生育させた。塩水灌漑は2009年7月から開始した。塩水はポットの下部から供給し、水位を深さ40 cmに固定した。ECH2Oセンサーを表層から深さ20 cmの位置に設置し、土壌水分、EC及び地温を時系列的に測定した。また、1ヶ月ごとに苗木の樹幹長および地際直径を測定した。

土壌水分およびECは、共に7月から8月にかけて上昇し、その後ほぼ一定となる傾向を示した。また、灌漑塩水濃度の増加に伴って土壌水分およびECの値は上昇した。土壌ECが増加した8月に、特に比較的高濃度の塩水灌漑下で伸長成長の低下とシュートの枯死が発生し、処理区間で樹幹長に大きな差が認められた。地際直径はコントロールよりも50及び100 mM塩水灌漑下で大きく、これらの処理区では土壌塩分によって地上部の成長量が低下しないようであった。


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