| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-141

トレハロースの投与が樹木苗木の耐塩性に与える影響

*村田直樹1, 岩永史子2, 田中浄1, Ailijan Maimaiti1, 山中典和2 (1鳥大院・農, 2鳥大・乾地研)

乾燥地域では耕地開拓や過放牧などによる植生の破壊が進行しており、土壌の劣化した荒廃地が拡大している。また土壌の塩類化が深刻な問題となっている地域も拡大しており、緑化活動による生態系の修復が求められている。しかし乾燥地での植栽木の活着率は低く、苗木活着率の向上が大きな課題となっている。そこで本研究では塩ストレス環境下での苗木活着率の向上を目指し、脱水時に細胞膜やタンパク質を保護する機能が知られるトレハロースを処理することによって苗木に耐塩性を付与することが可能か調査を行った。

実験には中国北西部において砂丘固定や塩類化土壌の修復などに用いられるスナナツメ(Elaeagnus oxycarpa)を用いた。50%Hoagland液を用いた水耕栽培によってスナナツメ苗木を育成し、トレハロース溶液(濃度 0 M, 0.05 M, 0.1 M, 0.2 M, 0.3 M)に2日間根を浸漬してトレハロース処理を行った。その後NaCl(濃度 0 M, 0.3 M)を加えた50%Hoagland液に苗木を移し替え、1週間経過を観察した。NaCl処理の終了後、苗木を50%Hoagland液に再度移し替え成長が再開するかを2週間観察した。実験期間を通して苗木の健全度、葉数、樹高、地際直径、光合成速度を記録し、実験終了時に現存量を測定した。

その結果、塩ストレスを与えずに育成した処理区ではトレハロース処理濃度の増加に伴い成長量や光合成速度が減少していた。しかし塩ストレスを与えた処理区ではトレハロース処理による葉のしおれ・脱落防止効果が観察され、処理濃度によって差は見られたがトレハロース投与による苗木の耐塩性の向上が確認された。


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