| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-145

光合成・蒸散による二酸化炭素と水蒸気の炭素・酸素同位体分別の同時測定と新たな葉内水の酸素同位体比の非定常モデルの提案

*児玉直美(Landcare Research), Jerome Ogee(EPHYSE, INRA), John E. Hunt(Landcare Research), Margaret M. Barbour(Landcare Research)

生態系内の二酸化炭素や水の酸素安定同位体比は、生態系内の水や炭素の動態を調べるための有効なツールであることが提唱されている。植物が存在する生態系内においては葉内の水の酸素同位体比が大気中の水や二酸化炭素の酸素同位体比に強く影響を与えているために、葉内の水の酸素同位体比の変動を調べることが重要である。現在用いられている葉内の水の酸素安定同位体比の予測モデルでは定常状態を仮定しているものがほとんどである。しかしながら、実際の観測値によると野外条件下において定常状態になることは稀であり、非定常状態を予測するモデルが必要とされている。そこで、まず本研究では実験室内において近年発展のあった半導体レーザーと従来のガス交換手法を組み合わせ、植物の葉と大気を出入りする二酸化炭素と水蒸気の安定同位体比の短期変動(分単位)を同時測定する手法を開発した。単子葉植物の異なる部位を二つのチャンバーに挿入しその変動を、環境条件や灌漑水の酸素安定同位体比を変化させ気孔コンダクタンス、内部コンダクタンスと共に光合成・蒸散における二酸化炭素・水蒸気の安定同位体比の分別をモニターした。現在使われているモデルと本研究で開発したモデルと実測値を比較したところ、葉内における水の拡散とそれによる水の酸素同位体比分別についての記述をさらにモデルに組見込むことでモデルの精度を高めることが可能である。


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