| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-155

アカガシとウバメガシの乾燥ストレスに対する生理生態学的反応の比較

*小栗寛(東大院・新領域), 石田厚(森林総研), 福田健二(東大院・新領域)

乾燥条件では,気孔を開くことを可能にする反応として葉の浸透調節と通水コンダクタンスの増加があげられる。この反応のどちらかをどの程度行うかは種によって異なる。本研究では緩やかな山間部にみられるアカガシと乾燥した沿岸地域に生育するウバメガシの実生を用いて乾燥ストレスに対する生理生態学的反応の違いを見た。

乾燥に対する水分特性の違いを比較するという面から乾燥処理区(Dry区)とコントロールの処理区(Wet区)を,蒸散要求の増加による反応の違いを比較するという面から被陰環境から全光環境へ移動した処理区(Sun区)と被陰環境を継続したコントロール区(Shade区) という1樹種合計4つの処理区を設け育生させた。全光環境へ移動前の葉を旧葉,移動後に展開した葉を新葉とし,光合成速度,気孔コンダクタンス,浸透ポテンシャル,クロロフィル蛍光,根,茎,葉の通水コンダクタンスにおける各処理の反応を比較した.

光合成速度と気孔コンダクタンスはウバメガシのShade区と比べSun区で低下しており,Wet区の光合成速度の低下がDry区と比べ大きかった。アカガシはSun-Dry区のみで低下がみられた。浸透ポテンシャルはウバメガシ,アカガシともにSun-Dry区の新葉と比べ,同区旧葉で大きく低下した。本発表ではこれらの結果と通水コンダクタンスの結果を比較し,その反応の違いを考察する。


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