| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-181

奄美群島徳之島におけるオキナワウラジロガシとアマミアラカシの堅果生産量の3年間の変動

*平山大輔(三重大・教育),香山雅純(森林総研・九州),舘野隆之輔,川路まり,北岡和彦,米田健(鹿児島大・農)

奄美および琉球地方に固有のカシ類であるオキナワウラジロガシとアマミアラカシの堅果生産量の年次変動を解明するため、奄美群島の中部に位置する徳之島において、2007年に調査を開始した。2007年9月に、三京岳の天然林から胸高直径の異なる12個体のオキナワウラジロガシを選び、各個体の樹冠下の林床に4から10個(合計69個)の種子トラップを設置した。また、伊仙町義名山の林分から9個体のアマミアラカシを選び、各個体に4から5個(合計41個)のトラップを設置した。月ごとに、トラップ内に落下した繁殖器官を収集し、毎年の堅果落下数を記録した。本講演では、これまで3年間に得られた結果を報告する。

オキナワウラジロガシでは、2007年、2008年ともに全個体で堅果落下数が0個であったが、2009年には堅果生産が認められた。また、果実の中絶や種子散布前被食などにより落下したとみられる未成熟堅果数も、2007年と2008年には0個であったが、2009年には多量に認められた。これらの結果は、オキナワウラジロガシの繁殖が個体群内で強く同調しており、かつ繁殖量の年次変動が大きいことを示唆している。一方、アマミアラカシでは、緩やかな変動はあるものの、毎年堅果生産が認められた。

オキナワウラジロガシは開花の翌年に結実する性質(2年結実性)を持ち、アマミアラカシは開花の当年に結実する性質(1年結実性)を持つ。これまでの研究で、著者らは、2年結実性カシ類(アカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ)には明瞭な隔年結果現象があり、1年結実性のアラカシにはないことを明らかにしてきた。本研究により、奄美・琉球に固有のカシ類でも、2年結実性および1年結実性の種間で堅果生産のふるまいが異なる可能性が示唆された。


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