| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-211

ハクサンハタザオのサイズ依存性開花

*長岡光洋,工藤洋 京大・生態研

植物は生活史の中で、一連の発生段階を経過する。発生段階は幼若相、成熟相、生殖相に分けられ、相から相への移行には特定のシグナルが必要とされる。多年生植物では特に、サイズが小さい個体はその年には繁殖ではなく成長に投資を行い、繁殖相への移行を翌年以降にまわすなどのサイズ依存的な繁殖戦略が知られている。本研究では、ハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri ssp. gemmifera)の野外集団の継続調査によって開花現象のサイズ依存性を明らかにすることを目的とした。また、野外においては様々な環境の変化をシグナルとして開花するため、野外での調査とは別に栽培条件化においてのサイズと開花の関係も調べた。

ハクサンハタザオはシロイヌナズナ属の多年草であり、春に開花し,その後花茎が倒伏して花茎の頂芽や側芽より空中ロゼットを形成し、栄養繁殖をおこなう。2009年5月より1週間ごとに野外集団の120個体において最大葉長、葉数、花茎長、花茎数、開花、結実を測定し、開花とサイズの関係を調べた。

葉長や葉数、花茎長などさまざまなサイズの指標について、どの時期のどの指標がもっともサイズ依存性の開花を説明するかを解析した。また、野外においてはさまざまな環境要因が複合的に作用して開花が制御されているため、光などの環境要因を含めて考えたときに、どの程度開花がサイズによって説明されるのかを評価した。


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