| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-242
ツツジ科ツツジ亜科植物は、 hair root と呼ばれる非常に細かい根を発達させ、その根圏に生息する菌類と菌根共生することが知られている。ツツジ亜科植物はこの菌根共生を獲得したことにより貧栄養な土壌環境においても生育することが可能になったと考えられている。本邦にはツツジ亜科植物が緯度・標高問わず様々な土壌環境に幅広く分布しているが、これまで根圏菌類の生物多様性調査は殆ど行われてこなかった。本研究では、東北及び北海道に分布するイソツツジを材料とし、本種の根圏に生息する菌類の種多様性を地域間で比較した。根の採取は本種が自生する青森県恐山、北海道恵山、硫黄山、雌阿寒岳、天塩岳の各採取地で 5 箇所、計 25 箇所で行った。採取した根は、実験室に持ち帰り界面活性剤による洗浄、塩化水銀による表面殺菌を行った。CMA 培地入りのマイクロプレート上に細分化した根を静置し培養、根から培地上に成長してきた菌糸を新たらしい培地上に移植することで菌株を確立した。得られた約 470 菌株について、形態的特徴と rDNA ITS 領域及び 28S rDNA D1-D2 領域の塩基配列から種同定を行った。また、各採取地の土壌の pH 値及び総リン量、総硫黄量、総炭素量、総窒素量を測定することにより、各地の土壌環境を評価した。これらの結果を基に、各採取地のイソツツジ根圏に生息する菌類の種多様性を評価し、採取地の土壌環境が菌類群集に及ぼす影響を検討した。