| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-250

イモゾウムシに寄生するFarinocystis様原虫へのUV照射による不活化の検証

*嶋田名利子,熊野了州,栗和田隆,城本啓子,原口大(沖縄病害虫防除技術セ)

沖縄県を含む南西諸島ではサツマイモの害虫であるイモゾウムシが分布している。本種は本土には分布しておらず、沖縄県から本土への寄主植物(サツマイモなどヒルガオ科の植物)の持込は規制されている。最近になって熊本県でもイモゾウムシの分布が確認され、本種の早急な根絶が必要である。

沖縄県では本種の根絶を目指し、不妊虫放飼法を用いた根絶事業を行っている。不妊虫放飼法をする際、対象の害虫を大量増殖できることは必要条件の一つである。しかし本センターでは、2005年以降、イモゾウムシの生産数が急激に減少した。その原因は増殖系統への原虫の感染であることがその後確認された。この原虫のイモゾウムシへの感染は、羽化したイモゾウムシが、飼料であるイモ表面の原虫を食べることでのみ起こり、原虫に感染したイモゾウムシは、寿命と繁殖力が大幅に減少する。

イモゾウムシの生産数を上げるためには、原虫の感染を効果的に防ぐことが重要である。先行研究により、原虫を含んだ抽出液に紫外線を照射することで原虫が不活化されることが明らかになっている。本研究では、実際の飼育下での紫外線照射を想定し、飼料であるサツマイモ表面についた原虫に対し紫外線照射することで原虫が不活化されるかどうかを評価した。本講演ではその結果をもとに、イモゾウムシの大量増殖における紫外線照射の有用性を議論する。


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