| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-335
多くの木本植物は、地上部が撹乱などにより失われた際に萌芽再生する能力を持っている。萌芽発生量はある特定の株サイズでピークを持っており、その萌芽特性は樹種ごとに異なっている。一般に萌芽には地下資源への投資が必要とされており、様々な生活史特性とトレードオフが発生していると考えられる。本研究では、まずそれぞれの樹種がどのような萌芽特性を持っているのかを明らかにし、その上で萌芽特性に影響を及ぼしている生活史特性を探った。
北茨城市小川群落保護林周辺の伐採1年目の2次林皆伐跡地にて調査を行った。調査は地下資源を用いた萌芽の成長が終わり、独自に光合成成長を開始する前と考えられる6月から8月上旬の初夏の間に行った。落葉高木12種、落葉小高木3種を対象とし、株サイズの異なる個体を1種あたり18−38個体を選び、切り株断面の直径と地際からの高さ、萌芽枝の根元直径と長さを測定した。
親株の断面積(S)と発生萌芽断面積の合計(P)との関係をP=aSb-cS(a,b,cは定数)という式を用いて回帰することで、ある株サイズで萌芽発生量のピークを持つ曲線を得ることができ、回帰パラメータが樹種特有の萌芽特性を示していた。さらに、これまで小川試験地で得られた生活史特性に関するデータを用いて萌芽特性と生活史特性との関係を考察した。