| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-020
寄生蜂は、寄主である植食者を探す手がかりとして、植食者の食害を受けている植物が放出する植食者誘導性揮発性物質を利用する場合がある。コナガサムライコマユバチ(Cotesia vestalis以下、コマユバチ)は、アブラナ科のスペシャリスト植食者であるコナガ(Plutella xylostella)の幼虫寄生蜂である。本研究では、コナガ幼虫が誘導した植物揮発性物質(P. x.-IPV)のコマユバチに対する誘引性に関して、アブラナ科のキャベツ、コマツナ、ダイコン3種を用いて調べた。特に各植物由来のP. x.-IPVに対してコマユバチの反応性が、蛹化後にそれらを経験した場合としない場合でどのように変化するのかに注目した。まず、各植物のP. x.-IPVを経験していないコマユバチは3種それぞれの健全株より食害株に選好性を示した。このとき、キャベツの食害株はコマツナやダイコンの食害株よりコマユバチに対して高い誘引性を示した。さらに、コマユバチはキャベツのP. x.-IPVを経験すると、キャベツでは非常に高い割合で食害株を選んだが、コマツナとダイコンでは健全株と食害株を同じように選んだ。一方、コマツナのP. x.-IPVを経験したコナガコマユバチはキャベツの食害株とコマツナの食害株で同等の選考性を示した。これらの誘引性の違いや学習の違いに関わる揮発性物質を見つけるために、植物3種それぞれの健全株と食害株の揮発性物質を分析した。今回の発表でこれらの解析結果を報告する。