| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-026
荒廃した生態系の修復のためにマングローブを植林する際、地域住民の生態資源利用を考えることも重要な視点である。本研究ではカニ群集を生物指標としてマングローブ植林地の環境評価を行うことで、生態系修復と生態資源利用の両立を模索することを目的とする。その初期段階として、野外調査データからマングローブ植林とその後の人為的活動がカニ群集にどのような影響を与えているのかを明らかにし、マングローブ植林地の生態系修復程度を評価する生物指標としてのカニ群集の有効性を議論したい。
インドネシア、南スラウェシ州の沿岸地域では養殖池を造成するためマングローブ域を破壊した事に起因される海岸浸食に悩まされ、約30年前から養殖池の沖合にマングローブ植林をおこなってきた。野外調査は、このような地域における 砂浜:植林を行う以前の環境、 植林地(保護):植林後25年間伐採が禁止されてきた植林地、 植林地(伐採):植林後25年間伐採と植林が繰り返されてきた植林地、そして天然林の4地点で実施した。
その調査結果から1)砂浜から植林地(保護)・植林地(伐採)へのカニ類の種構成の変化、そして植林地(保護)と植林地(伐採)におけるカニ類の種構成の違いに注目することで、植林による環境変化、また植林後の伐採の有無が、生息するカニ群集の種構成および多様度にどのような影響を与えているのかを明らかにする。2)植林地(保護)・植林地(伐採)と天然林におけるカニ群集の種構成および多様度の違いに注目することで、植林後25年が経過した植林地(保護)と植林地(伐採)の生態系がどの程度修復されてきたのかを比較検討する。