| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-119

最尤推定法に基づく進化動態の計算手法

*伊藤 洋(無所属)

集団の方向進化における決定論的性質を解析するためには、Lande's equation (Lande 1979)やcanonical equation(Dieckmann and Law 1996)などが有効である。その一方で、集団の進化的分岐(種分化など)の決定論的性質を記述する数学的手法は確立されていない。すなわち、1集団が2集団へと分裂する動態を、一続きの過程として扱うことができない。そのため、複数の形質が同時に進化する場合には、進化的分岐の解析は困難である。そこで本研究は、「平均進化経路」を与えるcanonical equationの手法を改良し、最尤推定法に基づく「最尤進化経路」を考案した。この最尤進化経路ならば、進化的分岐を一続きの過程として記述可能である。さらに、1集団の方向進化においては、Lande's equationやcanonical equationと同じ進化経路を与え得る。本発表では、最尤進化経路の適用例として、最尤進化経路を用いることにより、集団が形質yにおいて方向進化しながら別の形質xにおいて進化的分岐する条件について報告する。


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