| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-125
生息地制限とマルチレベル選択下でのグループ形成の進化
a1西澤裕文, a高田壮則 a北大院・地環
要旨
グループに所属する個体は、集団で生活することによって、捕食者に対する防御、繁殖機会の増加、採餌効率の増加、といった協力関係による利益を得ている。しかしグループを形成することによって、利用できる資源が制限されるという不利益を被ることがある。また同性個体間では、繁殖機会をめぐる競争関係にある。これらの間の緊張状態が、さまざまな生物で見られる多様なグループ形成の形式に影響をあたえているのかもしれない。
本研究は、グループを構成する個体間における繁殖機会をめぐる競争関係から生じうる他個体の追放、加えてグループ外からの新たな個体の侵入という事象に着目し、それらがグループ形成の様式に与える影響について調べることを目的とした。
本研究では世代時間の長さ、繁殖可能パッチ数、個体間能力差の関係性をパラメータとした数理個体ベースモデルを模索した。このモデルではグループ構成個体間での優位劣位関係の存在を想定した。優位個体は劣位個体の繁殖を許容/抑制するかの決定権を持つ。劣位個体は優位個体の提示した条件に対してグループに残留するか、グループから出て行くかを選択できるものとした。このような状況におけるそれぞれの立場での他個体への振る舞いを戦略とした。
コンピュータシミュレーションを行うことによって、パラメータとそこから生じるグループ形成のパターンとの関連性について調べた結果を報告する。