| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-212

農地景観におけるマルハナバチの個体群動態:トラップ調査とDNA分析から推定したコロニーの密度と成長

筑波沙彩, 後北芙実, 紺野康夫(帯広畜産大), *永光輝義(森林総研)

マルハナバチは、外来種管理や希少種保全の対象となっている。そのために、野外で個体群の密度を推定することが求められている。その推定の方法として、トラップによる捕獲・訪花個体の採集・訪花個体の遺伝子型によるコロニー判定を比較する。帯広郊外の農業地域に設定した2 x 3 kmの調査区で2008年に、エゾトラマルハナバチ(トラマル)とエゾオオマルハナバチ(オオマル)を材料として、それらの方法を比べた。5月29日から10月30日にかけて調査区内の3つの林内に設置した12個のトラップによって捕獲されたワーカー数はトラマル15およびオオマル96だった。6月27日から9月13日にかけて調査区内で採集された訪花ワーカー数はトラマル184およびオオマル179だった。それらの訪花ワーカーの遺伝子型によって判定されたコロニー数はトラマル68およびオオマル124で、それらを負の二項分布に当てはめて推定したコロニー数はトラマル108およびオオマル400だった。よって、トラップによる捕獲と訪花個体の採集から得られた両種の個体数は、調査対象とした場所や訪花植物への選好性やコロニーサイズなどの種間差などによって推定コロニー数から偏ることが示唆された。


日本生態学会