| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-238
イノシシによる農作地への被害増加が全国的に問題となっている。栃木県も例外ではなく、30年ほど前は西部地域、茨城県にもまたがる個体群が確認されているが、当時はそれほど大きな被害は報告されていないなかった。しかし近年、南東部の群馬県寄りから別の群が分布を広げており、それに伴う農業被害等も多発している。有害駆除等のデータより10年前に比べ10倍以上に分布を拡大し、捕獲数も比例して増加している。現在も分布を広げているイノシシのこれまでの分布拡大の経緯を探ることは、これからさらに分布拡大していく可能性の高い地域を予測し、被害防除のための施策を行う上で重要である。これまでの研究によりイノシシは標高、積雪などが行動を阻害するとされている。逆にイノシシは里山的環境を好むとされている。
本研究では栃木県で行われている有害獣駆除の結果と植生及び標高、積雪などを考慮し、イノシシがなぜその場所に分布を広げたのかということを検討した。
方法は1998年から2007年に栃木県が行った有害獣駆除で捕獲されたイノシシ数のデータを使用し、2.5km×2.5kmのメッシュデータを使用した。10年分のデータとその周辺環境を調べることで分布を広げた要因と逆に分布を阻害した要因について検討した。