| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-295

クロヒカゲの縄張り争いには体サイズと飛翔筋の発達が重要である

竹内剛(広大・生物圏科学)

チョウの雄は配偶縄張りを巡って争う。彼らの闘争は、相手を物理的に攻撃する一般的な動物の闘争と違って、2頭がお互いの周りを飛び回ったり(回転飛翔)、直線的に追い掛け合ったり(追飛)するだけなので、どのようなメカニズムで闘争が決着するのかが分かりにくい。これまでに行われた研究でも、体サイズが闘争結果に効いている種と効いていない種があってその包括的な理解が難しく、動物の闘争行動の進化を理解する上での難題となっている。

演者は、ジャノメチョウ科クロヒカゲの縄張り闘争に身体形質が影響するかどうかを調べるために、調査地で縄張り保持者と非保持者を採集し形質を比較した。その結果、縄張り保持者は非保持者に比べて体サイズが大きく、飛翔筋がより発達していた。

本種の闘争に身体形質が効いている理由として、本種の闘争が追飛型であることが考えられる。直線追飛は回転飛翔に比べて飛翔速度が大きくなり、闘争中に傷つくコストも増大する。したがって、追飛を行う種では、回転飛翔を行う種に比べて、体サイズや飛翔能力に関する形質が闘争結果に大きく影響するのではないかと考えている。


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