| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-304

フタモンアシナガバチにおける居候ー他巣に移動するワーカーの特徴ー

*山下大輔(九大・理),粕谷英一(九大・理)

原始的真社会性狩りバチであるアシナガバチのワーカー(働きバチ)は、通常は羽化後母巣に留まり、自らの繁殖の機会を未成熟個体の養育や巣の維持に費やす。ワーカーはこれら利他的な行動を通じて血縁個体の繁殖を助けることで、自身の包括適応度を上昇させていると考えられる。

しかし、ワーカーの中には、母巣から他巣に移動し、非血縁と思われる他巣個体との相互作用を行っている個体が存在する。このようなアシナガバチワーカーの巣間移動の適応的意義についてはほとんどわかっていない。

本研究では、2007年と2008年の5月から7月にかけて、野外でのフタモンアシナガバチの個体群を観察し、ワーカーの巣間移動について調査した。

ワーカーのうち、個体群中3.6%〜14.8%のワーカーが巣間移動を行っていた。移動したワーカーは採餌・巣材集めなどの巣外での活動や巣の防衛などの利他的な行動、他ワーカーとの触覚による接触や噛み付きなどの順位行動を行い、順位の高い場合は移動先の巣でワーカー産卵を行うことなどが観察された。本発表ではこれら巣間移動したワーカーの行動や体サイズ、齢などの特徴を検討する。


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