| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-065
霧ケ峰高原の半自然草原は現在も大規模な面積を有する希少な在来群落である。しかし本地域においても草原の管理停止に伴う遷移進行により、これらの面積減少が問題となっている。また1970年代にはすでに外来植物の侵入,定着が報告され(土田ら,1975),現在もこれらの在来群落への影響が懸念される。そこで本研究において昨年度の本大会では,まず霧ケ峰高原における外来植物の侵入,定着状況を群落構造から報告した(大窪,2009),さらに今回は刈り取りおよび播種実験の結果から駆除、抑制方法および在来草原植生の復元方法について考察することを目的とした。
強清水(約標高1680m)において実験および調査を2008年9月〜2009年11月に実施した。本地域はヒメジョオン類の個体群が長期に更新している場所である。駆除実験の処理区には刈り取りの有無、刈り取り回数(1回(秋季のみ)、2回(秋季、翌年夏季))、在来種の播種の有無を設定した。刈り取り処理はヒメジョオン類(ヘラバヒメジョオン)とメマツヨイグサ類のみ行い、6実験処理区を設置し、反復数は3とした。各プロットは2m×2mとし、中心の1m×1mで群落調査を行った。群落調査は計18プロットにおいて、出現種名および被度、群度、自然高を記録、測定した。同時に立地環境条件を把握するため、光条件については相対光量子密度を群落の地際付近で測定した。土壌含水率は晴天が3日続いた後に土壌含水率計を用いて測定した。どちらも各プロット9点で測定し、平均値を求めた。刈り取りは植物体の地際から剪定鋏で丁寧に刈り取った。刈り取られた植物体は研究室に持ち帰った後、乾燥機で処理し、後日、乾燥重量を測定した。刈り取り実験の結果、両者は年2回の刈り取り処理で減少するが,植物体は刈り取り直後に再生が可能で,継続的な管理の必要性が示唆された。